我が子が作った借金を支払っている親御さんが支払っているケースを見かけることがあります。「親の心、子知らず」、あるいは「子の心、親知らず」でしょうか。本来、我が子の借金を親が負担する必要はありません。しかし、支払わなければならないケースもあります。
保証人になっていなければ、借金を負担する必要はありません
家族が借金を抱えていたとしても、親が「保証人」や「連帯保証人」として契約を交わしていなければ、親であるあなたには返済の義務はありません。
保証人と連帯保証人は、借金をした人が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという点では共通しています。しかし、貸金業者が返済を求めてきた場合、保証人であれば「まずは借金をした人に請求してください」と主張することができますが、連帯保証人はそのような主張をすることができないなどの違いがあります。そういった法的性質から、貸金業者からすれば連帯保証人のほうが良いわけで、一般に保証人になるということは連帯保証人になることであるといっても過言ではありません。
付け加えれば、配偶者、兄弟姉妹など、子供以外の誰の借金であれ、保証人、連帯保証人になっていなければ、借金の返済義務のあるのは、契約者本人だけです。
貸金業者が、法律上支払い義務のない者に対し支払請求をすることはありません。それだけでなく、必要以上に取り立ての協力を求めることも禁止されています。
もし、業者が、執拗に支払うよう求めてきた場合、監督官庁に対し、行政指導
あるいは行政処分の申し立てができます。
年齢によって扱いが変わる面もあります
子供の借金については、未成年かどうかで少し異なる面があります。
1消費者金融の場合
消費者金融は大手の借り入れ基準には「20歳以上で安定した収入のある人」と明記されています。20歳以上で安定収入があれば、学生であろうと社会人であろうと、借入可能ですが、逆にアルバイト等で安定収入があっても20歳未満の人は大手の消費者金融では借り入れができません。
しかし、数は少ないですが、学生を対象にした「学生ローン」を専門に扱っている中規模の消費者金融があります。学生ローンは大学生、大学院生、専門学校生が対象で、業者によっては「18歳以上の安定収入のある学生」と明示している学生ローンもあります。
ただし、未成年者の借り入れの場合は、保護者の同意が必要です。未成年者の保護のため民法で定められているものですから、まず、ここをチェックしないといけません。
2クレジットカードでの借金の場合
クレジットカードは、申し込み条件には「18歳以上」となっているケースが多いです。ただし、18、19歳の場合、どんなに安定した職業についていて年収が高くても、保護者の同意が必要です。
但し、大学生や、専門学校生なら、「学生カード」と呼ばれる学生のためのクレジットカードもありますし、親が持っているカードの「家族カード」を持つ方法もあります。
その場合、子供がクレジットカードで買い物をしすぎてその返済に困るケースはあり得ます。
人生経験として「がんばって自分で返しなさい」と本人に頑張らせるのも、親が肩代わりするのも家庭次第でしょう。
成人した子供の借金がかさんでしまった場合
20歳以上で、自分で貸金業者から借金をしたとしても、前記の通り、親は保証人、連帯保証人でない限り支払い義務はありません。
大人のしたことです。借金を返せる様子がなくても、安易に援助することをせず、自分自身の行動に責任を持たせるためにも、お金を借りた子供自身が責任をもって解決しなければなりません。
「誰にも頼るな、自分ひとりで考えろ」という選択もあれば、親の金銭的援助もひとつの方法でしょう。またこれらに代えて、専門家である司法書士に頼ることも検討の余地があります。
しかし、親が簡単に援助をしてしまえば、同じことを繰り返すことになりかねません。
借金を残して亡くなった場合
たとえば、子供が家出をしてしまい、長年音信不通だったところ警察から亡くなったという連絡があったとします。子供は結婚せず子供もいないとのことで、それからしばらくして貸金業者から両親に、「子供の借金の残りを払ってもらいたい」と言ってきたらどうでしょうか。
亡くなった子供に配偶者、子供がいない場合、相続人は直系尊属、つまり親になるのは法律上の決まりです。
相続は、資産も借金も引き継ぎます。しかし「相続放棄」という手続きをとって負担を免れることが可能になります。早めに専門家に相談しましょう。
もし、両親が相続放棄すると、今度は、お子さんの祖父母が相続人になります。祖父母全員が相続放棄すると、子供の兄弟姉妹がいれば、今度はその人が相続人になりますので、関係者全員に事情を説明して、早めに協力をしてもらう必要があります。
これは、親が借金を残して亡くなった場合も同じです。
借金のようなマイナスの財産だけを相続放棄できれば良いのですが、そうはいきません。資産と借金を一体として放棄するか、引き継ぐしかありません。
こういう場合も専門家に相談するのが良いでしょう。
借金問題は、いつ何時降りかかってくるかわかりません。もし、ご自身に今回お話ししたようなことがあれば、司法書士法人杉山事務所までお問い合わせください。随時無料電話相談を受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。